新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で深刻化しています。感染症にかかってしまう主な要因はウイルスが手を介して口や目・鼻などの粘膜から体内に入ることによります。メディアなどでも手洗いや消毒の大切さが取り上げられるようになりましたが、正しい方法でできていなければ十分な効果は期待できません。手洗いと消毒は、新型コロナウイルスに限らず、すべての感染症対策の基本であり最も重要な手段です。今回は改めてその方法を確認しましょう。
◆手洗いについて◆
日常的な手洗いとは目に見える汚れの除去を目的としています。病原性の微生物の存在は見た目では判断できませんが、十分に手洗いすることよって、そのほとんどを取り除けることが分かっています。
手洗いの時間と回数による効果について以下の表に示しました。
ハンドソープを用いてより時間をかけて、回数が多いほどウイルスの残存率が低いことが分かります。日常での手洗いには[2]以上の方法で行うことが望ましいと言われています。
正しい洗い方は以下の通りです。
※手洗いの注意点
①手洗いが終わった後に水道のレバーを触らない
→せっかく洗った手が再び汚れてしまいます。腕や肘などを使って止めるようにしましょう。
②手洗い後、濡れたまま髪の毛やドアノブを触らない
→髪やドアノブにはウイルスや細菌などの微生物がついており、濡れた手は乾いた手よりも微生物が移動しやすいことが分かっています。清潔なタオルやペーパータオルでしっかり水分をふき取りましょう。
◆手指消毒について◆
消毒は目には見えない病原性微生物を害のない程度に死滅・除去させることを目的としています。一般に用いられるアルコール消毒は擦式法(消毒薬を乾燥するまで皮膚に擦り込む方法)といい、速効性と高い殺菌効果があります。
正しい手指消毒は以下のとおりです。
※手指消毒の注意点
①あきらかに手が汚れている場合はまずは流水とハンドソープで手を洗う
→汚れた部分には消毒薬が浸透しません。
②必ず乾いた手に消毒液を使用する
→濡れた手では消毒液の濃度が薄まるため効果が大きく減少してしまいます。
③節約のために少量で消毒しない
→少量では十分な効果が得られません。消毒の1回量はポンプを1プッシュ押し切った量(約3ml)です。多いと感じるかもしれませんが、乾くまでに手全体にしっかりと行き届かせるためには必要な量です。
③乾燥するまで待つ
→アルコール消毒はアルコールが揮発する際に効果があるため、しっかりと自然乾燥させましょう。
④アルコール消毒に効果のないウイルスもいる
→今回の新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスはアルコール消毒が有効ですが、ノロウイルスなどの一部のウイルスには効果がないことが分かっています。すべてのウイルスに有効ではないことを知っておきましょう。この場合は手洗いが有効です。
<参考文献>
厚生労働省ホームページ
医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン
感染症学会雑誌
日本食品洗浄剤衛生協会ホームページ